フラメンコ3

化粧も終わって、まったり………してる時間はなかった。
アバニコ(扇)が壊れた。
あ〜あ。
幸い2つ持ってきてるので大事には至らなかったけど。
妹者に買ってもらったピンクの扇に変更。
ついでに色合いからスカートは自分の持ってる赤ではなく、先輩から青色のを借りる。
よし、ダイエットのかいがあって、先輩のスカートも余裕だ。



舞台に出る時間。
直前で先生の娘さんが、先生の衣装と間違えて着ていたことが判明。
慌てて交換しようとしている所に、
「あのー、そろそろお願いします、って入っちゃったですけど、いいですかね?はは。」
突然、楽屋に入ってくる依頼人の爺さん。
きゃー、えっち。
フラメンコスカートで隠す。大きいと便利。
先生の衣装と娘さんの衣装の着脱を手伝う。
先生娘「いやー、わたしまた太った?背中にお尻出来てる?」
歌音が左右から手で布を引っ張り、先輩が背中のチャックをあげた。
なんか、直前でまた汗だくになってるんですけど。



依頼人が舞台の挨拶。
「えー、この岡山○○学校の○○周年同窓会で、うんちゃらかんちゃら…、で、どうしてもお祝いさせてくれと、先生から申し込みがありまして………」
申し込みはそっちからあったんだよね。
大人はウソツキだね。
最初の曲が流れ、舞台に立った。
お、好評。結構ちゃんと見てるじゃん。
余談だけど後輩2人はギタリストさんの隣りに座ってカンテ(手拍子)をする。
ただし、初舞台の2人は手拍子打ってる振り。



2曲目の間、着替えるために一旦楽屋。
先生の娘さんの着替えもまた手伝いつつ。
3曲目でまた出ていく。
「よっ!情熱!」
どんな掛け声だ。
体調悪いから、足運びをゆっくりさせてギタリストさんに合わせてもらう。
生演奏はいいね。
4曲目は先生の独壇場。
そろそろ観客が飽き始める。
5曲目は先輩2人。
直前は舞台袖でアバニコ(扇)を持ってひかえつつ、こちらも手拍子と掛け声。
先生も舞台横の歌音の側に寄ってきた。
先生「誰も見てないわねっ。もったいないと思わない?」
確かにもったいない。
自分達のことでいっぱいの爺さん婆さんで飽きちゃったんだな。



最後の曲。
扇を持って全員で踊る。
相変わらず滑る床と、あっつい照明に気を取られて扇を落としそうになった。
危なかった。
曲が終わり、全員でおじぎ。
アンコール………なしっ。
よし、撤収っ。
先生が客席でおあいそ振りに行ってる間、さっさと帰り支度を始める。
まず、つけまつげが痒いのではずす。
自分のスカートを詰め込んで、先生達の荷物をわしゃわしゃやってる間に舞台から何か声が聞こえてきた。
か、カラオケだとぅ?
1曲目は、………わからん。演歌っぽい。
2曲目、東京音頭。それを背に桜花の間を出た。



なんかむなしいな、今回は。
とか思いつつ、後輩と別れて、先生の旦那さんの車をホテルの入り口付近で待つ。
先生、ホテルスタッフ相手に営業しないでください。
先生「あんたフラメンコやらない?」
やれやれって感じで車に乗る。
ホテルスタッフさんが「あはは、4人も乗るんですかぁ?」
なんてのに、愛想笑いしつつさっさと逃げる。
交通違反だっつー(ry
先輩は、先輩の旦那さんに向かえに来てくれるように携帯で連絡したが、お酒飲んじゃったー、とのことで来られなかった。
帰りは家の近くまで車で送ってくれた。



今回はとにかく楽屋がひどかった。
ドタバタはいつものこと、なんせこの先生ですから。
まぁ、今までも楽屋自体は狭いことが多くて、全員入りきらないこともままあったけど。
でも、同じ室内のついたての中って……ホテル側もちょっとは気を利かせろよ。
で、客の態度も最悪。
余興の1つとはいえ、歩き回るわ、大声でしゃべるわ、ちょっと下品すぎやしないですか?
え?厳しすぎますか。ええ、まぁ、主役は踊る側じゃなくて見る側です。今回は。



最後に。
先生、衣装は勝手に借りてこないで下さい。
お金払って自分の身体に合わないサイズとか、もう。
泣けます。